人事担当者向け

女性活躍推進チェックリスト

女性活躍推進とは?

女性が性別にとらわれることなく、自らの意欲や能力を十分に発揮し、社会のあらゆる分野で活躍できる状態のこと。仕事と家庭の両立支援や、昇進機会の平等、働き方改革などを通じて、多様な価値観が活かされる社会の実現を目指す取り組みです。


本記事では、女性の活躍推進に取り組みたいけど「何から始めていいか分からない」とお悩みの企業・組織のための、

  • 女性活躍推進のチェックリスト
  • 女性活躍推進の具体的な進め方およびポイント

を記載します。


1 まずは会社の現状の把握からはじめましょう

女性活躍推進のためには、会社の現状把握が必須です。

【現状把握するための方法 ①~会社の状況を数値化し”客観的”にみる~】

▼ 把握すべき数値





▼ 会社の実情・状況に応じて把握すべき数値例



会社の実情把握の際には、厚生労働省「行動計画策定支援ツール」も活用できます。



【現状把握のための方法 ②~従業員のリアルな声を聞き、”主観的”に状況把握~】

状況の数値化だけではなく、従業員へアンケート・ヒアリング等を行い、”リアルな声”を集めることも大切。
数値だけではわからない従業員の生の声に、課題解決のヒントがあるかも…?!


2 現状を分析!課題を明確にしましょう

つづいて「1(現状の把握)」を元に、会社の解決すべき課題を深堀しましょう。


– 現状① – 採用者における女性従業員の割合が低い 

それ、「採用」が問題かも?

▼ 採用の現状について深堀りしてみましょう





– 現状② – 男性従業員に比べると女性従業員の継続勤務年数が短い 

それ、「就業継続」が問題かも?

▼ 就業継続の現状について深堀りしてみましょう





– 現状③ – 管理職に占める女性の比率が少ない

それ、「配置・育成・登用」が問題かも?

▼ 配置・育成・登用の現状を深堀りしてみましょう





3 課題に合わせた対策を進めていきましょう

「2(現状の分析)」で明らかになった課題についてさらに詳しく分析し、対応策を決定した上で実際に実行に移していきましょう。

課題1 採用

<対処すべき課題例 A>

人手不足に直面している中、特に女性からの応募が少ないことが明らかになった。人材確保に向けて、女性の応募を増やし、採用活動を進めていきたい

<考えられる取り組み>

  取り組み   効果
STEP① 会社案内やホームページを通じて、社内で活躍している女性や女性活躍推進に関する取り組みを紹介する ➡︎ 求職者に向けて、女性が活躍できる職場である点をアピール可能
       
STEP② 転勤が必須など、女性にとって達成が難しい勤務条件を再検討する ➡︎ これまで応募がなかった子育て世代・若年層の女性からの応募が期待できる
       
STEP③ 「仕事への意欲」など、性別に関係なく適用される採用選考基準を新たに導入。さらに、研修を実施して面接担当者に新しい選考基準や性別に基づく偏見の排除を浸透させる ➡︎ 公平な採用選考を実施することで性別に関係なく優れた人材を採用することができる
       


対処すべき課題例 B>

業務の中に体力的に負担の大きい仕事があり、女性にとって働きにくい職場だと考えていた。しかし人手不足が深刻であり、これからは性別に関係なく人材を確保していきたい。


考えられる取り組み

  取り組み   効果
STEP① 業務内容を明確にし、各業務を具体的な作業に分けて分析する ➡︎ 業務における各作業を明確に可視化することができる
       
STEP② 分解した作業から体力的負担の少ない作業を取り出し、その作業に特化した新しいグループを設立する ➡︎ 女性にとって働きにくいとされていた業務の中で、女性人材を積極的に活用することが可能
       
STEP③ 募集に際して、子育てなどで時間に制約のある人でも応募できるよう勤務時間を柔軟に調整し募集を行う ➡︎ 業務内容に加え、勤務条件を再検討することで、幅広い人材を対象に募集を行うことができる
       

課題2 就業継続

対処すべき課題例 A>

仕事と育児を両立することに不安を感じる従業員が多く、出産や育児をきっかけに女性従業員の離職が相次いでおり、人材の定着が大きな課題となっている。

<考えられる取り組み>

  取り組み   効果
STEP① 育児や介護など多様な事情を尊重し合える職場を目指し、意識改革の研修を実施する。両立支援制度の再確認とともに、短時間勤務や在宅勤務などの制度整備も進める ➡︎ 互いを尊重する企業文化の醸成につながり、従業員の継続就業を支える環境づくりに役立つ
       
STEP② 各制度の内容をまとめたリーフレットを作成し、従業員および管理職に配布して制度の理解を促す ➡︎ 制度の活用を促すきっかけとなり、さらに管理職などが対象者へ積極的に働きかけることで、より高い効果が期待できる
       
STEP③ 複数の業務を担当できる体制や、多様なスキルを持つ人材の育成を推進する ➡︎ 業務を補い合える体制を整えることで、各種制度の利用による人手不足への対応が可能になる
       


対処すべき課題例 B>

長時間労働が常態化しており休暇取得率も低い状況。このため、従業員のモチベーションが低下し離職率が高いという部分が課題となっている。


考えられる取り組み

  取り組み   効果
STEP① 長時間労働の改善を目指して、全社で『ノー残業デー』を導入する ➡︎ 長時間労働を全社的な重要課題として認識させ、解決に向けた従業員の意識改革を促すことができる
       
STEP② 業務を整理し、無駄な作業やプロセスを排除していく ➡︎ 無駄を削減し業務効率を向上させることで、長時間労働の削減が可能になる
       
STEP③ 複数業務の担当制やマルチスキル化を進め、生産性重視の評価制度で効率的な業務運営を評価する ➡︎ 業務の補完体制を整えることで、休暇の取得がしやすくなり、効率的な業務運営がモチベーション向上にもつながる
       

課題3 女性の配置・育成・登用

対処すべき課題例 A>

将来の管理職候補となる女性の育成が進んでいない。その原因として、業務担当において男女間に暗黙の差があり、さらに研修機会も性別によって異なっていることが明らかになった


考えられる取り組み>

  取り組み   効果
STEP① 営業部門や企画部門など、男性が中心だった職域に女性を配置する ➡︎ 女性従業員の職域を広げることができ、さまざまな職務を経験することで、管理職に必要なスキルを身につけることが可能になる
       
STEP② 業務内容・キャリアアップに関する研修の機会を性別に関わらず平等に提供する ➡︎ 業務に必要な知識やスキルの習得を促進。さらに、女性従業員に対して会社の期待を明確に伝えることができる
       
STEP③ 生産性を重視した公正な人事評価制度を導入。また昇進に必要な条件として転勤経験など女性が達成しにくい要件があれば見直しを行う ➡︎ 公正な評価を行うことで、性別に関係なく、能力のある人材を登用することができる
       

対処すべき課題例 B>

女性従業員が、将来的に管理職として働くビジョンを描けていないため、管理職を希望する女性がいない


考えられる取り組み>

  取り組み   効果
STEP① 女性従業員を中心に、意識改革とキャリア形成支援を目的とした研修を実施する ➡︎ 女性従業員自身のキャリアアップに対する意識を変える
       
STEP② 女性従業員に対して、自社で活躍する女性管理職をロールモデルとして示す ➡︎ 身近な人材を目標として示すことで、キャリアアップに向けた具体的なビジョンを持たせることができる
       
STEP③ 社内の女性従業員同士や女性管理職との交流の場として、研修会や交流会を実施する。さらに、外部研修や他社との交流イベントにも参加を促す ➡︎ 社内外で人的ネットワークを築くことで、管理職として働く不安が解消されモチベーションが向上する
       

取り組みを進める際の重要なポイント

◉ 大事なのはトップのリーダーシップ!

経営トップがリーダーシップを発揮し、女性活躍推進の方針を社内全体に明確に示すことで、会社全体の共通目標となり、より効果的かつ継続的な取り組みが実現します。


◉ 社内体制を整備し効果的な取り組みへとつなげる

女性活躍推進に向けた課題には、短期的に解決できるものと長期的な取り組みが必要なものがあり、一部部署だけでは対応が難しい場合もあります。実施体制を工夫することで、効果的な取り組みが可能になります。

<実施体制の例>

  1. 女性活躍推進のため、社内にプロジェクトチームを結成します。総務や人事担当部署に加え、経営陣との調整ができる人材の選定が重要となります。
  2. 外部の専門家を登用し、社外の意見を取り入れる。


◉ 複数の課題がある場合は、重要度に応じて優先順位をつけて取り組む

会社の現状を把握し、複数の課題が見つかった場合はそれぞれに優先順位を設定して取り組みましょう。
課題は単独で解決するものではなく相互に関連していることが多いため、一つの課題の改善が他の課題にも良い影響を与えることがあります。



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