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【キャリアデザインの基礎】② 働く意味とワークステージ


あなたは何のために働きますか?

収入のため?
やりがいのため?
自分を成長させるため?
それとも、誰かの役に立つため?

私たちは、人生の多くの時間を”働くこと”に使っています。

にもかかわらず働く意味について改めて考える機会は意外と少ないものです。

今回は、キャリアの世界にあるワークステージという考え方を元に働く意味について解説していきます

ワークステージとは?


キャリアの世界には「ワークステージ」という考え方があります。

これは、働くことを4つの段階で捉え、自分がどの段階にいるか?どこを目指すか?を考える枠組みのこと。

第1段階:ライスワーク(Rice Work)

最初のステージは、生活のために働く「ライスワーク」です。

ご飯(ライス)を食べるための仕事、つまり生きるための仕事。

どんなに理想や夢を語っても、収入がなければ生活はできません。
まずは稼ぐことが基本になります。

しかし、もし「生活できるだけの収入を得られるなら、どんな仕事でもいい」と言われたら、皆さんは何を選ぶでしょうか?
例えば”雑草を毎日抜き続けるだけの仕事”だったとしても、続けられるでしょうか? 

人はやがて、働くことに意味やりがいも求めるようになります。

第2段階:ライクワーク(Like Work)

そこで次にやってくるのが「ライクワーク」、つまり仕事を好きになるという段階。

”好きなことを仕事にする”という言葉がありますが、現実はそう単純なものではありません。
好きなことが義務になると、途端に苦痛に変わってしまうケースもあります。

例えば、音楽が好きでバンドを組んでいた人が、メジャーデビューしてレコード会社の意向で曲を作るようになった途端に音楽がつまらなくなってしまう…など。

だからこそ、”好きなことを仕事にする”のではなく、”仕事を好きになる”視点が重要。

そのために必要なことは2つ。

  1. スキルや知識、経験を積み、自分にできることを増やすこと。
  2. 自分で仕事の進め方を決められるようになること。

新人の頃は何をするにも上司に確認が必要ですが、信頼を得て任されるようになれば、自分で考え決める余地が増えていきます。
それが、仕事の面白さに直結します。

ただし、信頼を得るには「誠実な行動」が必要。

当たり前のことですが、遅刻が多かったりミスを繰り返していれば仕事は任されませんよね。
例え転職を繰り返したとしても、自分の基盤ができていなければ、結局また同ことの繰り返しになってしまいます。

第3段階:ライフワーク(Life Work)

3つ目のステージは「ライフワーク」。

これは、”お金を払ってでもやりたいこと””人生をかけて取り組みたいこと”を意味します。
いよいよ、お金では測れないことに取り組むステージに入っていきます。

例えるなら、おじいちゃんの盆栽や、子どもの世話、PTA活動、あるいは趣味の焚き火イベント(須田の場合)などがライフワークにあたります。

たとえお金を払ってでもやりたい!と思える活動がライフワークであって、自分の生活の中心にある活動のことです。

ライフワークに関しては、それが誰かに評価されるかどうかは関係ありません。

「これをしていると自分が生きている実感がある」それがライフワークなのです。

第4段階:ライトワーク(Right/Light Work)

最上段が「ライトワーク」です。

これは「光」や「権利」の“Light/Right”に由来し、自分がいなくなった後も続いていくような活動やプロジェクト、理念に基づく仕事を指します。

企業の理念やビジョンもその一例です。
社長が代わっても変わらない企業理念、それは会社にとってのライトワークです。

よく就職活動などで「企業理念を理解しましょう」と言われますが、自分自身のワークステージが上がってない場合、実はその本当の意味は腑に落ちてこないことが多いです。

次の世代に引き継がれていくような働きがライトワークに近い存在となります。

次のステップへ:時間の使い方を見直す

ワークステージの理解をさらに深めるには、「自分がどんな時間をどのように使っているか?」に目を向けることも大切です。

普段の生活を振り返り時間の使い方を見直すことで、働き方や生き方そのものが変わっていきます。


▼ あなたの人生の時間配分を見直す方法、「人生のポートフォリオ」の考え方はこちらの記事で解説しています。
「人生のポートフォリオ」とは

働く意味は人それぞれでいい


あなたは、働くことにはやりがいが必要だと思い込んでいませんか?

たとえば「お金を得るために働いている」という考え方も、立派な価値観です。

働くこと自体に楽しさや情熱を見い出せなくても、生活を支えるため、家族のために働く。それだって意味のある働き方です。

大切なのは“人生全体の中で何に充実を感じているか”の部分。

仕事にやりがいがなくても、土日に地域活動をしていたり趣味に熱中していたりプライベートの時間に自分の価値を感じられていれば、それで良いのです。

むしろ仕事と私生活のバランスを自分なりに取り、自分の時間の使い方を選べていることが充実した人生につなるかもしれません。

大事なのは、「自分が何を大事にしているか?」に気づくこと。

「働く」ことの本質

働くことは、人と関わり、人を支え、自分の価値を見つけていくプロセスであって、その中で私たちは段階的に「働く意味」を見出していくのです。

漢字で”働く”は「にんべんに動く」と書きます。

この字の成り立ちには、「人が動く」「人のために動く」「人と動く」といった意味合いがあって、つまり、”働く”とは、他者と関わる中で成り立つ営みを示しています。

社会の中で生きるということは、誰かのために誰かとともに動くこと。

そう考えると、「自立」とは一人で何でもやることではなく、「自分の苦手なことは誰かに任せ、自分の得意なことは他者のためにも使うこと」と捉えるほうが、現実的で豊かな考え方なのです。

自立の先にあるのが「共に生きる」姿勢であり、それはまさに「はた(傍)を楽にする」、つまり「働く」ということにつながっていきます。

ライスワークから始まり、ライクワークへ。

やがてライフワークを見つけ、ライトワークの理念に触れる。

その行程の中で自分の時間の使い方を見直し、人生のポートフォリオを整えていくこと。

それが、「働く」ことの本質なのです。