人事担当者向け
【なんでなんでのVision】価値観の境界【解消したい境界】
2024.12.31
「正しい」「大切」と感じる価値観は、人それぞれ違っていて当たり前です。
でも、その違いをすぐに否定したり、敵視してしまえば、対立や差別を生むだけ。
多様性が重視される今の時代に本当に必要なのは、”価値観の境界をなくす”こと。
「白か黒か」で分けるのではなく、価値観をグラデーションとして捉える柔軟さです。
どうすれば価値観をグラデーション化できるのか?
答えは、シンパシーとエンパシーの両方を使いこなすこと。
他人の価値観を「自分とは違う」と認めつつ、「それはそれ、これはこれ」と
別のものとして認識・尊重する姿勢が、価値観のグラデーションを育てていくのです。
シンパシー | 相手の感情に対して少し距離を置いた共感。「そう感じるんだね」と、相手の気持ちに理解を示しつつ、自分自身の感情とは分けて受け取ること。 |
エンパシー | 相手の感情を「自分ごとのように」感じ取る共感。相手の立場に深く入り込み、心の動きを追体験すること。 |
シンパシーとエンパシーを上手に使い分けることで、他者との心の距離を調整しながら、互いの違いを認め合い、尊重し合うことができます。
これが価値観のグラデーション化のための基本姿勢と言えます。
他者の価値観を認識・尊重するための3ステップ
では、シンパシーとエンパシーを理解した上で、 ここからは他者の価値観を認識・尊重し別モノとして容認するための具体的な方法を3つのステップで書いていきます。
① 歴史をたどる:自分の価値観の「確認」
自分自身の価値観は、これまでの経験や生きてきた環境によって形成されます。 まずは自分自身としっかり向き合い、自分の歴史をたどること。 自分の価値観をしっかりと「確認」することが、他人の価値観を容認する第一歩となります。
自分の歴史をたどるとは?
自分の「好き」や「嫌い」には必ず背景があります。 その背景にあるエピソードを振り返り、いつ、どんな経験からその感情が生まれたのか?をじっくり思い出してみましょう。
例えば、「キャンプで肉を食べて美味しいと思ったから肉が好きになった」「ドラえもんの映画を観たからドラえもんを好きになった」など、過去の実体験が現在の自分の価値観を作っているわけです。
つまり、自分の人生における「ターニングポイント」を探ることが自分の価値観確認のための大きな鍵となります。
② まずは自分から:自分の価値観の「尊重」
他者の価値観を認識・尊重するためには、まず自分の価値観を尊重することが絶対条件です。なぜなら、自分の価値観を大切にすることではじめて他者の価値観を尊重できるようになるから。
自分の価値観を尊重しないまま他人のことを気にかけたり、相手の思いばかりを優先すると「私ばかり頑張っている。どうして私だけ?」というマイナスな思考に陥ってしまいます。 なので他者の尊重の前にまずは自分!「最初に自分の価値観を尊重する」ことが大前提です。
自分の価値観を確認・尊重することで、はじめて”他者の価値観”を見極める基盤が作られます。 全ては「自分の価値観を尊重」してこそ生まれてくることを決して忘れてはいけません。
③ 他者の価値観は別モノ:他者の価値観の「認識」
冒頭でも書いたように、自分と違った価値観の人と出会うのはごく当たり前のこと。 「自分と違うから」という理由だけでシャットアウトするのではなく、相手の価値観を別モノとして理解する気持ちを持ちましょう。
自分の価値観が尊重されるように、相手の価値観だってその人にとっては大切な尊重すべきものであるという意識を持つこと。相手にだってこれまで歩んできた歴史、今の価値観が生まれた理由があるのだから、「なぜそのような価値観を持つに至ったのか?」を理解しようとする姿勢こそが価値観のグラデーション化のための第一歩と言えます。
「価値観が違う」ことは悪いこと?
ここでポイントとなるのが、人付き合いをする上で価値観が違うこと自体は決して大きな問題ではないということです。 それぞれが持っている価値観を別モノととらえた上で、相手を尊重する気持ちを持てば良いのです。決して「価値観が違う=敵」ではありません。
例えば、食事の好み一つとっても「私は野菜が好き。あなたは野菜が嫌い。じゃあ合わないわね!」と否定的な考え方ではなく、「あなたの好きな肉もアリ!私が好きな野菜もアリ!どっちも正解だね」と、お互いの価値観を別モノとして認識し尊重し合う気持ちが建設的な関係を築くことにつながります。
価値観の尊重≠相手への同意
ただし、勘違いしてはならないのが、価値観を尊重することは、単に「相手の意見に同意・同調する」ことではないということ。その場しのぎで一時的に相手に合わせるのではなく、相手が異なる価値観を持っていることを認識した上で「じゃあどうすれば一緒に協力し合えるか?」と、共通の目標に向かって歩み寄る方法を模索する気持ちが重要なのです。
ピンチ! 価値観の違いに悩む生活のワンシーン
もし仕事上で付き合う人と価値観が合わなかったら?
相手の価値観を認識し尊重した上で、「どうしても一緒に仕事するのは無理!」となってしまった場合。 自分の感情を押し殺してまで無理して付き合う必要はありません。別の策を考えてみましょう。
社内にはいろんなタイプの人がいますから、「自分とは合わないけれど別の人なら合うかもしれない」と、他の担当者を割り当て、自分以外の人に窓口になってもらうことも一つの対策として有効です。
自分と合わないから付き合い自体をあきらめるのではなく、「個人としての付き合いはできないけれど、会社として付き合えるならそれはそれであり」と柔軟に考え、会社としての利益を追求する選択も時には大切。 個人の「関わりたくない」感情だけで判断し仕事自体を制限するのは非常にもったいないことです。
もし学校で一緒にいる人と価値観が合わなかったら?
これは学校生活でも同じことが言えます。 学生の立場に置き換えてみると、例えばサークル活動やグループワーク。活動する上でメンバーと価値観がどうしても合わず、一緒に動くのが難しく感じることってあると思うんです。そんな時は前提として「考え方には個人差がある」という割り切った考えを持っておくのがおすすめです。
前述したように各個人が持っているバックグラウンドや経験は全く違いますから、端から別モノとして認識してたほうが、意見が割れた時も感情的にならず冷静に相手を見ることができます。 それでもどうしてもグループ内で合わない相手がいる場合、一緒に活動するのが苦痛になってしまった場合は他のメンバーに協力をお願いすることも一つの方法です。
自分の感情を無理に押し殺してまでその人と一緒に活動するよりも、その相手とのやり取りは他メンバーにお願いし、自分は自分のペースで進める方が結果的にグループの成果にもつながることがあります。 自分とは合わない相手でも、他のメンバーとの相性が良ければグループ全体としては問題なく活動できますよね。こうした柔軟な対応はとても大事です。
親子同士で価値観が合わないときは?
親子だからといって価値観が合うとは限りません。 ここで念頭におきたいのが、子供にも人権があり決定権があるということ。親のことは大切に思いながらも「親の期待に応えるための人生じゃない」という線引きはしっかりとしましょう。
とはいえ、前述の通り親子で意見が食い違ったからといって、敵対しなければいけないわけではありません。「互いの意見の違いを認識・尊重する」ことは親子間でも言えることで、親の期待(価値観)に無理に合わせようとするのではなく、自分の人生(価値観)をしっかりと歩みながらも親との関係も大切にしていくという良い塩梅を見極めること。
親の期待に無理に応えようとすることが、無意識に自分の子供にもプレッシャーを与え、その期待を次の世代に脈々とつなげてしまう恐れだってあるのです。 この負の連鎖を作らないためにも、「自分が親から受け継いだ価値観や期待をどう切り離すか」が重要な鍵となります。
自分も相手も価値観は日々変化していく
生活のどんな場面でも言える話になりますが、自分の価値観だって変化する可能性があります。 「私の意見はこうだ!」と固まっていたものがあっても、他者の意見を聞くことで「なるほどな」と変化することって誰しもが経験があると思うんです。他者の考えや価値観を知る中で、自分だけの視点では見えなかった新たな気づきや発見があるのは普通のこと。 そんな時は柔軟に自分の価値観を再評価・再認識し、より広い視点を持ってみてください。 他人の意見を聞いて自分の考え方が変わったって良いんです。 価値観は常に固定されたものではなく、経験や他者との対話を通じて日々変化していくものだという認識を持つことが大事。
だから常に自分と向き合うこと。
「自分はどう在りたいか?」、自分への問いかけを常に忘れないこと。
生きていく上で、学校生活を送る上で、仕事をしていく上で、「自分と向き合えているか?」と、自問自答する癖付けが重要なポイントとなります。
自分で決めたこと・他者の価値観、全てが「正解」である
「野菜を食べない」人。「野菜を食べたい」人。 どちらの選択だって正解なのです。
自分の思いも尊重した上で相手の考えも認め、共存する方法を探していく。 それが価値観の境界を無くすことであり、価値観のグラデーション化なのです。 すべての価値観が「正解」であり、異なる視点を持つ人と「どのように関わるか?」が大切。
自分の感情として「あの人は嫌い!」と思うことはもちろんある。けれど、仕事の付き合い上切り離せない場面は沢山あって、一緒に組むことで会社としてプラスになるのであれば私は組む。そこに一個人の「嫌い」という感情だけを優先し、可能性に制限をかけてしまうのは非常にもったいない話です。
「価値観の境界を無くす=敵・味方の概念を無くすこと」なんですね。
「価値観の境界」を無くすために株式会社なんで・なんでができること
- 世代間ギャップを埋めるための事業
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なんでなんでのVision 無くしたい境界
価値観の境界(本記事)