人事担当者向け
知っているようで知らない イノベーション
2024.08.06
イノベーションの起源
イノベーションという言葉は、19世紀後半に経済学者ジョセフ・シュンペーターによって初めて使われました。彼は、イノベーションが経済発展の原動力であると説き、新たな製品やサービスの創造が経済成長に不可欠であると指摘しました。シュンペーターの理論によると、イノベーションは技術的進歩だけでなく、ビジネスモデルや組織の変革をも含む広い概念です。
イノベーションと5つの新結合
イノベーションとは、常識の固定概念にとらわれず、聞けば誰でもわかるようなコロンブスの卵的なアイデアを指します。
シュンペーターは、イノベーションを5つの「新結合」として分類しました。これらの新結合は、既存の要素を新しい形で組み合わせることで、新しい価値を生み出すプロセスです。
1.新しい製品の導入
これは市場に全く新しい製品を導入することです。例えば、初のスマートフォンの登場はこの典型です。また、会社で扱う商材を増やすだけでその会社としてはイノベーションと言えます。
2.新しい生産方法の導入
新しい技術や方法を使って、製品の生産プロセスを革新することです。自動車の大量生産を可能にしたフォードの組み立てラインが例です。(具体例をかみ砕く)例えば、個人事業主として1人で活動していた人が人を雇うことも新しい生産方法の導入と言えます。
3.新しい市場の開拓
これは、既存の製品を新しい市場に導入することです。例えば、ほかの県や首都圏に進出することや、近くであったとしても二店舗目を出すこともこれに該当します。
4.新しい供給源の獲得
原材料やその他の資源の新しい供給源を見つけることです。これは、資源の安定供給を確保するために重要です。1つの売り上げ先に依存するのではなく、複数の売り上げ先のポートフォリオを作ることで、価格交渉などの優位性を持つことです。
5.新しい組織の構築
新しいビジネスモデルや企業構造を作り上げることです。これは、企業の効率性や競争力を向上させるために行われます。1人でも採用することもこれに当てはまります。
いずれにしても、5つの新結合を実際に起こすためには、現状よりも仕組みや考えるべきことの幅を広げていく必要があります。
秋田県のビジネスにおけるイノベーション
秋田県はよく商売下手と言われることがあります。製造業は下請けの企業が多く、自社製品を持っていない企業がほとんどです。2021年度のデータでは開業率も全国でワースト1位です。広告や広報下手ともいわれます。テレワークなどのコロナ後の働き方についても従来のスタイルに固執しがちです。
その業界常識や社内常識に疑問を持つために学生インターンシップを受け入れたり、若手社員の疑問に向き合ったり、今一度社内の当たり前を見直す行動が重要です。株式会社なんで・なんで では、大学生が新規事業や社内のイノベーションを起こす「課題解決型インターンシップ」をコーディネートしています。
イノベーションの未来
今後もイノベーションは社会に大きな影響を与え続けるでしょう。人工知能(AI)やロボティクスの進化は、さらに多くの分野でイノベーションを促進する可能性があります。例えば、AIに議事録を文字起こししてもらい、まとめ文書を作ってもらうなど、AIを業務に活用することで効率化を図ることが期待できます。
さらに、持続可能な社会というテーマに向き合うことで、今までのやり方とは根本的に異なる方法を探す、ということで結果的にイノベーションが必要となります。ペーパーレスのためにFAXをやめることも1つのイノベーションと言えるでしょう。秋田ではいまだにFAXが使われているのですから(笑)
結論
イノベーションは、特別なことではありません。経験があるベテランほど、先入観の無い目でものごとを見る訓練が必要です。当たり前や常識がイノベーションを阻害していることを意識しましょう。
※本記事は秋田市の職員向けのイノベーション研修(2016年)を再編集して作成したものです