人事担当者向け
【キャリアデザインの教科書②】多様性と多重役割
2024.10.04
【連載】キャリアデザインの教科書 第2回「多様性と多重役割」
リクルートワークス研究所による報告書「新しいキャリア論ハンドブック 8つの補助線から考えるキャリアデザイン」を読み、代表須田が今感じること、考えることを語る全10回の連載企画。
最初から読む:第0回 キャリアデザインとは
前回:第1回 これからの時代
従来の「安心・安全」は崩れ始めている
今回の新しいキャリア論ハンドブックで大きな割合を占めるのが「多様性と多重役割」についてです。最も多い8つの補助線うちの3つを占め、かつ他の補助線の前提にもなるべき価値観の変化だと思います。
高度経済成長期に比べ、所属をする会社、結婚や子どもの有無などの家族観、地方暮らし回帰など、いい大学に行けばいい会社に入れるという価値観ではなくなってきています。大手自動社メーカーが統合したり、大手家電メーカーが外国資本になったり、大手金融機関が横領事件を起こしたり、公務員のパワハラ事件が起きたりするなど、大手だから安心、公務員だから安定、という時代ではなくなってきています。
そんな時代に幸福感に影響するのは「自己決定」だが…
そんな中、神戸大学と同志社大学の研究結果では、所得や学歴よりも「自己決定」による、自分の人生の納得感が幸福感に強い影響を与えているという結果が出ています。
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私たちは選択肢がないと、捕らわれの身であるような閉塞感を感じ、自分でなくてもいいのではないか、という被害妄想を持ちがちです。しかしながら、逆に「自由」であることなど、選択肢が多すぎることももまた選ぶという意思決定のハードルが上がり、プレッシャーに押しつぶされてしまいます。
現在は第1回でお話したように価値観は多様に変化し、職業選択の自由度が高まる時代です。多様であるということは自分自身の問題だけではなく、自分を取り巻く環境についても多様であることを受容せねばなりません。多様であれと人に強要することは、相手の価値観を認めない多様性のない押し付けになってしまいます。
1人で何役もこなす時代
同時に1人が複数の役割を持つようになりました。最もわかりやすいのがプレイングマネージャーです。昔の組織であれば、役職者はマネジメントだけでよかったのですが、今は現場や担当顧客を持ちながら他の部下のマネジメントをするようになりました。女性の社会進出に伴い、働きながら子育てをする層も増えてきました。女性に限らず、男性の家事参画や育児休暇取得など、仕事とプライベートの両立が必要になる人が増えてきています。
単身労働者からパートナー(結婚)、そして親へと変化していた時代から、属性としてすべて持ち合わせるような時代になりました。状況や他の人との関係性のなかで自分は今どの属性の立場で考え、話すのかを判断していくことになるのです。
負担ばかりが増えるように聞こえますが、時には複数の属性をいったりきたりすることが効果的に働く場面もあります。例えば、新商品の企画をするときに、利益を求める企業側の立場と、安くいいものを使いたいという消費者の立場を行ったり来たりして考えることで、良い商品開発ができます。
自分の持つ属性を増やし、その属性間の価値観を行き来する柔軟性を持つことが、これからの職業人として求められていく多重役割を使いこなすコツと言えます。