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【キャリアデザインの基礎】プランドハプンスタンス
2025.08.28
「将来、どんな仕事に就けばいいか分からない」
「何を目指せばいいのか、正解が見えない」
そんな不安を抱えている人は多いのではないでしょうか?
実は、キャリアの8割は”偶然”によって決まると言われています。
その偶然を、ただ待つのではなく“意図的に起こす”という考え方が、本記事で解説するプランドハプンスタンス理論です。
▼ 株式会社なんで・なんで代表須田が展開する【キャリアデザインの基礎】シリーズはこちらからご覧ください。
【キャリアデザインの基礎】② 働く意味とワークステージ 【キャリアデザインの基礎】③ キャリアにおける「VSOP」 【キャリアデザインの基礎 】④「WILL CAN MUST」を考える 【キャリアデザインの基礎】⑤ 社会人基礎力 |
プランドハプンスタンスとは?
「Planned Happenstance(プランド・ハプンスタンス)」は、スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が提唱したキャリア理論です。
プランドハプンスタンスは、“計画された偶然”という意味を持っており、クランボルツ教授は、キャリアの8割が偶然の出会いや予期せぬ出来事から生まれているという部分に注目しました。
つまり、「キャリアは綿密な計画通りに進むのではなく、予想外の出来事から形づくられる」。
これがプランドハプンスタンス理論の根本的な考え方です。
偶然を”計画的”に起こす?
クランボルツ教授は、個人のキャリアの8割は予想できない偶然によって決まると考えた上で、その偶然をただ待つのではなく、「計画的に起こすことができる」という風に述べました。
「偶然を計画的に起こす」ーーー?
この言葉は一見矛盾しているように感じるかもしれません。
しかし重要なのは、偶然のチャンスに出会いやすくなるよう、自分の行動や心構えを変えていくという部分。
では、どのようにすれば「自分の行動や心構えを変えていく」ことができるのか?
行動を変えプランドハプンスタンスを実現するために必要とされる5つの特性を解説します。
「偶然を計画的に起こす」ための5つの行動特性

クランボルツ教授は、「偶然を計画的に」起こすために必要な5つの行動特性を以下のように提唱しています。
1. 好奇心(Curiosity)
新しいことに興味を持ち、常に学び続けようとする姿勢。
例:授業以外の分野にも関心を持ち、セミナーやイベントに参加してみる
2. 持続性(Persistence)
困難にぶつかっても、あきらめずに努力し続ける力。
例:最初はうまくいかなかったインターンでも、粘り強く続けてスキルを磨く
3. 柔軟性(Flexibility)
状況や計画が変わっても、柔軟に対応する力。
例:進路の変更や就職活動の方向転換に前向きに取り組む
4. 楽観性(Optimism)
未来に希望を持ち、「なんとかなる」と信じて挑戦する姿勢。
例:失敗しても「この経験もいつか役に立つ」と前向きに捉える
5. 冒険心(Risk Taking)
未知の世界やチャレンジに飛び込む勇気。
例:興味はあるけれど不安な海外ボランティアに思い切って参加してみる
プランドハプンスタンスを起こすために大事なマインド

ここからは、プランドハプンスタンスを起こすための方法をさらに深掘りして解説します。
①「偶然」を引き寄せるにはまず動いてみること
プランドハプンスタンスで最も大切なのは、自分から行動することです。
行動しなければ、偶然は起こりませんから。
たとえば──
- 偶然、隣の席になった先輩と話してみたら、面白い研究室を紹介してもらえた
- 興味本位で参加したワークショップで、将来の就職先と出会った
- アルバイト先の店長のつながりで、新たな仕事のチャンスをもらった
こうした出来事は、一見偶然のようで、実際は、「行動していたからこそ起きた必然の偶然」です。
② いつもの自分と違う行動をしてみる
日常の中でプランドハプンスタンスを起こすためのヒントは、「いつもの自分と違う行動をとってみる」こと。
- いつも断っていた友達の誘いにたまには乗ってみる
- 通学路を少し変えてみる
- 普段行かないお店に入ってみる
- 聴かないジャンルの音楽を聴いてみる
- これまで行動的だった人はあえて休息を取ってみる
こうした些細な変化が、新しい刺激や人との出会いを生み出すことがあります。
③ リスクテーキング
新しいことに挑戦するには、リスクを取る勇気が必要です。
ただし、ここでいうリスクとは「命やお金に関わるような危険」ではなく、精神的な不安や失敗の可能性を含むチャレンジのことです。
- 緊張するけれど知らない人に会ってみる、行ったことのない場所に行ってみる
- 人見知りだけど初めての活動に参加してみる
- うまくいかないかもしれないけどYouTubeで発信してみる
普段の自分では選ばない行動をあえて選んでみる。
あえて不安な道に足を踏み入れてみる勇気こそが、人生を変える偶然の出会いにつながるかもしれないのです。
フォーカスポイント〜縦と横の好奇心〜

プランドハプンスタンス起こすために必要な「好奇心」。
よく「好奇心はありますか?」と質問すると、多くの人が「ある」と答えます。
しかし、その多くの人が「ある」と答える好奇心は”縦の好奇心”であることがほとんどです。
好奇心には2種類あると私は考えていて、まず一つ目は皆さんがよく「ある」と答える縦の好奇心。
そしてもう一つが横の好奇心です。
縦の好奇心とは?
これは多くの人が自然と持っている好奇心です。
自分が好きなこと・興味のあることをどんどん深掘りしたいという気持ち。
たとえば、
- 好きなアニメをどんどん調べて詳しくなる
- 得意な教科をさらに伸ばしたい
- 興味のある分野の本を読み漁る
このように、知っている世界をより深く知る探究心が「縦の好奇心」です
横の好奇心とは?
一方で「横の好奇心」は、自分がまだ知らない世界に対する興味のことです。
こちらの好奇心は意識しないと、なかなか育ちません。
たとえば、
- 行ったことのない場所に足を運んでみる
- 会ったことのない人と話してみる
- 興味のなかったイベントに参加してみる
- 食べたことのない料理を食べてみる
つまり、未知の世界に一歩踏み出してみよう!という気持ちが「横の好奇心」です。
なぜ横の好奇心が大切なのか
「縦の好奇心」だけを持っている人は多いです。しかし、それだけでは新しい出会いや学びは生まれにくい。
何度も言うように、「プランドハプンスタンス」は、予想しなかった偶然の出会いや経験から生まれると言われています。
だからこそ、横の好奇心を持ち、いつもの自分とは違う行動を起こす勇気が必要なのです。
まとめ:未来は「偶然」からつくられる
将来を考えるとき、多くの人は「明確なゴール」や「正解のルート」を探してしまいます。
でも、現実はもっと流動的で、思いもよらない出来事から道が開けることがほとんど。
だからこそ、偶然を恐れず、むしろ歓迎する。
万が一その偶然が失敗に終わったとしても、それを学びに変えられる自分でいることが、これからのキャリアには必要なのです。
今日の帰り道、ちょっと違うルートで帰ってみませんか?
それが、あなたの人生の分岐点になるかもしれないですよ。
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