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【キャリアデザインの基礎 】④「WILL CAN MUST」を考える


キャリアデザインの基礎・第4回目。
本記事では、キャリア形成における自分の成長に必要な考え方、「WILL CAN MUST」について解説していきます。


▼【キャリアデザインの基礎】過去の記事はこちらから

【キャリアデザインの基礎】② 働く意味とワークステージ
【キャリアデザインの基礎】③ キャリアにおける「VSOP」

「WILL CAN MUST」を考える

「自分には何が向いているのだろう?」

誰もが一度はそんな問いを持ったことがあるはずです。
進路に悩んだ時、就職活動の時、そして働き始めてからも。

仕事が辛い時は特に、「この仕事、私に向いてないのかも…」と悩みがちですよね。

でもはっきり言います。

向いてるか向いてないかを考えるのは、時間の無駄です。

なぜなら、「向いてるか?向いてないか?」は判断基準として全く役に立たないから。

例えば…ある音楽家は49歳で初めて作品を発表し、52歳でようやく有名になりました。
一方でモーツァルトやシューベルトは30歳でその生涯を終えています。
つまり、才能が開花する時期は人それぞれで、「今できるかどうか?(向いてるかどうか?)」は未来の可能性を判断する基準にはならないということ。

なので、キャリアを考える際に大切なのは「向いているか?」ではなく、

  • 自分がやりたいか(WILL
  • できることは何か(CAN
  • 今やらなければならないことは何か(MUST

この3つの観点から自分を見つめることなのです。

WILL:やりたいことは何か?

WILL(ウィル)とは、「意思」や「願望」を意味します。
こうしたい、こうなりたい、という意思。(「将来こうなりたい」「こんな仕事がしたい」「この分野に興味がある」といった自分の希望
要するに「これをやってみたい」という気持ちがあるかどうか。
仕事やキャリアを考えるとき、「向いてるかどうか」ではなく、「やりたいかどうか(WILL)」の気持ちはとても重要です。

CAN:できることは何か?

次に考えるのがCAN(キャン)=できること。
あなたのスキルや経験、知識がCANにあたります。
やりたいことがあっても、それを実現する力がなければ意味のない話。
じゃあ、できないから諦めるのか?そうではありません。
なぜなら、CANは「増やす」ことができるから。
例えば、電話対応が苦手な若者は多いです。でも、社会に出ると電話業務は意外と多い。夢の実現のために電話応対が必要なら、逃げずに電話応対を「できること=CAN」に変える努力(練習)が必要です。
つまり「できる」ようになるために、やるべきことをやる。
それが次のMUSTの視点です。

MUST:やるべきことは何か?

MUST(マスト)は「やらなければいけないこと」。
楽しくないしやりたくないかもしれないけど、今の自分に”必要”なことがMUSTです。
先述した電話応対がわかりやすい例です。あとは、新社会人がよくつまずくと言われる報告・連絡・相談(ホウレンソウ)の徹底だったり、インターンシップへの参加などもその一例です。

やりたい仕事に就くために、やりたくないことをやる
それが、できること=CANを増やし、やりたいこと=WILLを実現するための道になっていくのです。


「WILL CAN MUST」の関係性をまとめると・・・

やりたいこと(WILL)を実現するためには、それを可能にする力(CAN)が必要であり、その力は「やるべきこと(MUST)」を地道に積み重ねる中でしか身につかない

なので順番としては、

MUST (やるべきこと)→ CAN(できること)→ WILL(こうなりたい)

という流れになるわけです。

目的論で考える

「WILL CAN MUST」を考える上でもう一つ覚えていてほしいのが「目的論で考える」という意識。

多くの人は、「過去がこうだったから、今はこうなんだ」といった原因論で物事を捉えがちです。
しかし原因論では、成長も変化も生まれにくくなってしまいます。

原因論と目的論の違い

人の考え方には「原因論」と「目的論」、2つのアプローチがあると言われています。

  • 原因論
     「過去の出来事が今の自分を作った」と考える。
     (例:昔いじめられた → 人と話すのが苦手 → 今の仕事に向いていない。)
  • 目的論
     「これからどうなりたいか」を軸に考える。
     (例:人と話すのが苦手だけど、将来人と関わる仕事をしたい → コミュニケーション能力を鍛える必要がある。)

過去ではなく未来に目を向けるのが目的論

原因論は、過去の延長線に未来を描き、変化や成長を阻みます。(原因論で考えるうちはプランドハプンスタンスも起きない)
一方で目的論は、未来を起点に「今どう行動すべきか」を考えるため、成長と変化を促します。

弱者の権力

「原因論と目的論」、頭では理解ができても、ついつい「私ってこんな人だから・・・」と逃げたくなる瞬間が誰しもあると思います。

そんな時にぜひ思い出してほしいのが「弱者の権力」という言葉。


弱者の権力は悪い方の目的論で、

「私は弱いから仕方ない」
「できないから無理」
「センスがないから…」

などと言ったネガティブな言葉が挙げられます。

弱者の権力は、周囲からの期待を下げ自分が努力しなくても責められない状況を生み出します。
弱者の権力を発動させることで周りが強く言ってこなくなり、自分自身もそれ以上努力しようとしなくなる——これが成長を止める最大の原因となってしまうのです。

弱者の権力に逃げる人の思考

  • WILL:「〇〇の仕事がしたい」
  • CAN:「でも自分にはスキルがない」
  • MUST:「苦手なことだから”やらなくていい理由”を探す」
     → 結果:何も変わらない・成長しない

成長する人の思考

  • WILL:「〇〇の仕事がしたい」
  • CAN:「そのために必要なスキルを身に付けよう!」
  • MUST:「苦手でも”必要なこと(やるべきこと)”をやる」
     → 結果:スキルが増え、自分のWILLに大きく近づく


まとめ:向いてるかじゃない「やるべきこと」をやる

キャリアを考える上では「自分に向いているかどうか」は悩むことではありません。

大切なのは、

WILL(やりたいこと)
CAN(できること)
MUST(やるべきこと)

この3つの軸で自分を見つめ、MUST=やるべきことに取り組むこと。

やりたいこと(WILL)に到達するには、できること(CAN)を増やさなければなりません。
そのためには、目の前の「やりたくないけど、やるべきこと(MUST)」から逃げずに、積み重ねていくしかないのです。

MUST(やるべきこと)→ CAN (できること)→ WILL(こうなりたい)

人生の軸をつくるキャリアデザインとは、まさにこの「MUSTから始まるプロセス」をどう歩むか。

向いてるか?じゃない。やるか?やらないか?」
それを決めるのは、あなた自身です。