「なんで・なんで」の情報

須田、社名変更について語ります

社名変更に至った理由や、新しい社名に込めた思いについて、代表取締役 須田へのインタビューをまとめました。


―― 社名変更のきっかけは何ですか?

起業して10周年ってのは1つの節目だなと思っています。

10年後の会社の存続率は6.3%

https://toma100.jp/media/company_life_rate/

そこで、自分のこと、会社のことを振り返ると、起業当初、やりたいことを誰に理解してもらいたいかと考えたときに、行政とか大学だなと思いました。だから、最初の「秋田就職総合研究所」っていう社名は硬そうでしっかりしている名前にしようと思って決めたのですが、ふとその決定軸を考えると他人軸なんです。自分たちが「こうありたい」というよりは「他の人にこう見られたい」という。

法人化する時に、「秋田就職総合研究所」をぎゅってやった「あきた総研」という名前にしました。別にそれを選択して主張があるかというと特に無くて、ただぎゅっと省略しただけの名前なので、思い入れは無いんです。やってきたことや、人とのつながりには思い入れはありますけどね。

「あきた総研って何やってる会社なんですか?」ってよく聞かれるようになり、色んなことやってるし、意味わからんこともやってるから、そこを「なんて答えようかな」って、ずっと悩んでた中で、企業のことも、地域のことも、1人1人の人生のことも、おもしろいことも、全部横串をさせる、こんな会社ですっていうのが示せるものって社名だなって思って。

例えば、秋田のプロバスケットのノーザンハピネッツも、最初は「秋田プロバスケットボールクラブ株式会社」という社名でしたが、2017年に「秋田ノーザンハピネッツ株式会社」に変更しました。バスケットボールをやる会社から秋田にハッピーのネットワークを作る会社になったことを表しているんだと思います。

―― パッと社名を見ただけで伝わるようなものにしたかったんですね。

そうですね。
その前段階では「うちの会社がやりたいことってなんだろうね」みたいな、MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)みたいなことを2年前くらいから整理していました。

会社のやることとか事実をまとめようと思って、付箋を使ってワークしました。
「今やってることはこういうことだよね」「こんなお客さんはこんな悩みああるよね」ということを考えました。
そこからさらに「それってうちがやりたいことなのかね」とか「でもそれの先とか背景とかがあんじゃね」とか、色々話してみました。事実としては整理できたんですけど、踏み込んだ時に「でも、結局なんでその事業やってるんですか?」っていう説明ができなくて、MVVの説明だけじゃなんかこじつけっぽくなってしまう。これはもう、社名を変えない限り、事業を横断した納得感が得られないなって。それで、社名変えようってなりました。

第1回目にミッション、ビジョン、バリューをまとめようとした表
2021年頃に初めての会社の理念ワークをした時の付箋

―― 事業と結びつくように社名変更されたんですね。

そうですね。
事業が多様なので、それらをちゃんと共通して目指しているもので結びつける。
ただ思いつきでバラバラやってるわけじゃないよ、っていうことをどうやって伝えていくか。
思いつきなことも多いんですが(笑)その背景には想いが共通はしていることもまた事実なんです。

―― 社名は、パッと見て色んなことをやっている企業ですっていうのが伝わるようなものですね。

そうですね。
世の中にもっと根本的な問いを発していきたいんですよ。

―― 根本的な問いとは?

我々がやってることには「働く」っていうことが1つのキーワードとしてあるので、「そもそも働くってなんでしょうね」みたいなこととか。

だから、うちはインターンシップ事業に力入れてるんですけど、働くっていうことをもっと、経営者もそうだし、働いている人たちみんなそうだし、それを考えていかなきゃいけない。「お金のためでしたっけ?」って言ったときに、「お金のため、なんだけど、それだけでもない」と。

そこら辺のバランスの話だったり、「じゃあなんで秋田で暮らすのか。生きるのか」ってとこもそうだし。行政がやたら秋田の人口減みたいなことを言いますが、一般市民はあんまり人口減だからって影響なくて、税金が足りないのが困るんでしょって。行政の問題なんで、それを社会課題だみたいに言われても…。

そういう問いの中で、情報化社会だからこそ、情報が直接的すぎると思うんです。その文脈を読むとか、背景を辿るとか、そういう間が少ないんで。

うちの理念は、「境界線の無いグラデーションの社会をつくる」です。

境界線のないグラデーションの社会を作りたくて。
そこを目指すってことは、現状、今の世の中にはさまざまな境界線があるってことなんですよね。分断が起きている。あっちの人、こっちの人になってる。「あなたは、あっち側の人間ですか?こっち側の人間ですか?」っていうことが、全ての人間関係の始まりというか、歪みの始まりというか。そういうのを全て壊していかないといけないし、世の中の良い悪いが今白黒はっきりつけがちだと思うんですよね。法律的には白黒はっきりするんだけど、でも違法駐車の問題とかって、法律では裁けないことだとか法律的には裁けても倫理的には良くないことってたくさんあるし、そういう世の中をうまいことやっていかなきゃいけない。

名刺1枚出しても、どこの会社の人かという所属が明確なことは良しとされてるけど、みんな本当は個人なはず。ということは、会って話して自分が相手を評価すればいい話なのに、口コミだとか悪口だとか、誰々さんが言ったから信用できるとか、そこに付随してる情報があるはずなのに。

だから私は「社長」と呼ばれるのがあまり好きじゃないんです。普通に「さん付け」とかニックネームで呼ばれたい。役職じゃなくて。これは新卒で入ったリクルートの社風も関係しているかもしれません。上司でも「さん付け」で呼ぶ文化でしたし。

―― 会社の情報とか評価が個人にも影響する感じですよね。

そうそう、社会的に問題のある会社とか組織に勤めていたら悪い人だと言われるみたいな。それって本当は関係ないはずで、採用の世界でも履歴書を見て「この人ここに勤めてたんだから仕事できそう」とか「元々行政の人なんだ。真面目そう」とか、関係ないはずなんです。そういうバイアスが人間はかかっているという前提の中で、それを解きほぐしながら、曖昧にしていく。曖昧にするというか、決めつけないというか。

―― 学生でいうなら学歴フィルターみたいなものが曖昧になってくることで、就職するときとか結構ハードルが下がるんじゃないかと思いますね。

そう、絶対あると思います。そういうグラデーションがあって、曖昧な世の中になっていくとどうなるかっていうと、「偶然の出会い」が生まれやすくなる。一方で、大学などは「学歴」が大事なのではなくて、目的意識とか、コツコツ努力ができるかとか、地頭がいいとか、論理力があるとか、受験自体が一定のハードルを超えている指標にはなると思ってはいます。

―― 偶然の出会いとは?

ウェブ検索がわかりやすいですけど、検索したら直接的な出会いしかないんですよ。これが欲しいからこうですみたいな。そして、一度検索したものに関連するものをオススメしてくるじゃないですか。つまり、関連する・関係するものに囲まれることになる。自分が興味の無いものに出会う機会がなくなるんです。本屋さんがわかりやすい。電子書式になると、さっき言ったように似たものをオススメしてくる。漫画なのか小説なのかビジネス書なのか。街の本屋さんって、平積みで店員さんのオススメがPOPで目立つようになっている。ベストセラーでもないのに、店員さんの個人的な趣味とかおすすめが。これは私の今までの趣向とは違うけど、「なんか面白そう」となって手に取るわけです。

就職活動も本当にわかりやすいです。
例えば、自分はマスコミ業界を志望してるからマスコミ業界調べますってなったら、マスコミ業界しか知らないわけです。でも「その人がマスコミに向いてるかわかんないじゃん」っていう。世の中にもっとおもしろい仕事があるかもしれない。どこかの企業の広報でもいいかもしれない。世の中にはもっと可能性があるはずなのに、物事をこういう方法で決めていくっていうのは非常に可能性が狭まる。

選択肢を広げて広がった選択肢の中から選ぶということが必要なんで、今は狭い選択肢の中から選べないって言ってるから、やりたいことが見つからないわけですよ。「広げろ広げろ!」みたいな。だから、偶然の出会いをつくらなきゃいけない。

これは少子化とか結婚しないっていうのもそうだと私は思ってて、偶然の出会いがないままに、条件フィルターみたいなのやってるから会えないわけで「もっと色々会え!」と。仕事と会社の往復で会えないとか言って「いや会え会え!」みたいな。今これからの世の中は、もう本当にそういう偶然の出会いがない世の中になってる。

なので、そういう偶然の出会いを創出していきます。
バーベキューも焚き火もそうだし、初めて会った人でも仲良くなれるっていう取り組みをしないといけない。

―― 私の就職活動を振り返っちゃいますね。特定の業界しか見てなかったな、なんて。

その時点で興味の持てることがあることは良いことだけど、同時に他にも興味を広げることも大事。
世の中には、他にもおもしろい仕事もあるし、むしろ会社から選ぶという時点で私はもうもったいないと思ってて。何をやりたいかで、なかったら会社作ればいい。

―― 「夢がない」という学生や若者も多いですが、それってむしろ良いことなんですかね。

大事なのは自分で選択をしたということです。
選ばずなあなあでいくのが1番良くないんです。「みんなが商社とか言ってるから商社行こうかな」みたいな。「親が大手だと安心って言ってるから大手にしようかな」そういうのはダメだけど、自分で選んでるんなら良いんです。辞めるときとかもそうで、やめるとちゃんと決断してやめるってことはいいんです。でも「なんか辛いから逃げよう」ってやめるのは良くないです。

だから、行動、何をするか、”What”が良いわけじゃなくて、大事なのは”Why”なんです。”なぜ”それをあなたが選んだのかって。なぜ「なんで」が大事。そういう想いを込めて、社名は「なんで・なんで」としました。

これからも、あきた総研改め、なんで・なんでをよろしくお願いいたします!

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